思い出とともに

こんにちは、はり灸いとぐちです。

顔にふきつける風が冷たくて

「ひゃー」と身をすくめた一日でした。

年の瀬を前に本格的な冬がやってきました。

今日は今年の色んなことを思い出しながら

うだうだ独り言です。

 

何年か前、認知症のおじいさんにご兄弟との

思い出話を聞かせてもらっていました。

 

「最近無沙汰をしているけど

あいつは元気でやっているかなぁ」

 

「便りがないのは元気な証拠とも言いますし

お元気にされているんじゃないですか」

 

「そうかな。それなら良いけどなあ」

 

実際にはご兄弟は何年も前に亡くなり

お葬式にも出席されたはずなのですが

そのことを忘れたおじいさんは

懐かしそうにご兄弟の安否を気遣いされていました。

 

何度かそのやり取りを繰り返しながら

私は人の生き死にとは肉体的なこと

だけではないなあ、と感じました。

 

ご兄弟は肉体的には亡くなって

しまったけど、おじいさんにとっては

確かに今もご兄弟は生きていました。

 

「人は二度死ぬ」と言うのを

どこかで聞いたことがあり。

一度目は肉体的に、そして誰の記憶からも

なくなった時にもう一度死ぬと。

 

それを聞いた時は、なんだか寂しい

気持ちがしたのですが。

今は少し違います。

死ぬという言葉より、記憶の中で

一緒に生きているということの方が

大切な気がします。

 

おじいさんが話してくれる

ご兄弟の思い出は、楽しくて

温かくて、そのお話をされている時は

おじいさんも、いきいきされていたから。

 

生きている人でも亡くなった人でも

誰かが誰かに思いをはせる時

人の縁というのは繋がっていると思います。

 

人が年齢を重ねるというのは

そのような縁が増えていくことだと

思うと、重ねる年月も思い出も

愛おしく感じます。

 

今年はお元気だと思っていた方が

急に亡くなった、というお話を

伺う機会が重なった一年でした。

 

悲しい時に泣いたり

苦しい時に嘆いたり

それでも少し楽になったと

笑えるように。

 

そういう場所であるように。

 

来年も少しずつですが

やっていけたらと思います。

 

治療院の近くの陸橋

空に続く階段みたい