こんにちは、はり灸いとぐちです。
突然ですが、ネガティブケイパビリティ
という言葉をご存じでしょうか?
私は最近知ったのですが、もっと
広まれば良い考え方だなぁと思ったので
紹介します。
ネガティブケイパビリティという言葉は
19世紀の初めにイギリスの詩人キーツが
初めて使った造語です。
「答えを性急に求めるのではなく不確実な状態や
わからない状態の中に留まっている能力」
「自分の考えを消して、想像によって
他者にはいっていける共感力」
というようなことを意味する言葉です。
キーツがシェイクスピアを称えて使った
この言葉を、20世紀に発見し再評価したのが
イギリスの精神科医であるウィルフレッド・R・ビオン
という人でした。
キーツが使ったその言葉の意味は詩人という
芸術の分野でのネガティブケイパビリティの
重要性ですが
ビオン医師は精神療法の領域でもその考え方が
重要であると説きました。
人が人を支援する領域では「答えの出ない事態に
耐える力」が求められていると主張しました。
目の前の症状に対して、ただ理論を当てはめて
判断するのではなく、生身の人と向き合うには
不思議さや疑念に対しても急いで答えを出さない
姿勢が重要であり、それがネガティブケイパビリティ
という能力であるということです。
そこから更に年月が経ち、現代を生きる私たちには
このネガティブケイパビリティの概念が
ますます必要とされている気がします。
今の世の中は疑問に思ったことを
すぐにネットで調べることが出来るし
そこで簡単な答えを得ることが出来ます。
でも、その簡単な答えで「わかった気」に
なったり、正解をすぐに求めたりすることは
危険なことでもあります。
私たちが向き合う世界の事柄の全てに
明確な答えがある訳ではありません。
むしろ、どうしようもできない状況や
考えても答えの出ない状況の中で
悩んだり考えたりしながら
生きていることの方が多いように思います。
人は様々な矛盾を抱えて生きる生物です。
AでないならBだ、と簡単に割り切れない
想いを抱えて生きています。
忘れたくても忘れられないこと
寂しいけど嬉しいこと
悲しいけど良かったこと
一筋縄ではいかない感情が同時に
自分の中に存在しているし
そういうしがらみの中で生きている。
そんな世界では、簡単に答えが出ないことの
方が多いはずです。
モヤモヤした気持ちに白黒つけられれば
良いのですが、もしそれが難しい時は
問題をちょっと脇に置いておいたり
あえてほおっておくことで、日にち薬で
対応していくしかないこともあります。
もし今、答えを出すことに焦っている方が
いらっしゃったら「ネガティブケイパビリティ」
というのも選択肢のひとつに
加えてみてはいかがでしょうか?
土星食を見る天体観望会
月に土星が隠れるという日
望遠鏡で月を見てモニターで
土星が隠れる様子を観測する
天文の世界の話はスケールが大きい
ちっぽけな自分と無限の宇宙を
感じることが出来る